06/09/2011

Harlem

こんにちは、お元気ですか? NYは昨日、今日とめちゃくちゃ暑いです。夕方5時なのに94度(F)体感温度97度(F)/34度(C)体感温度は37度(C)だそうです。かーっ!と真っ青な空にきらきらの日差しに暑いのが大好きな私(ちなみに、寒いのは超苦手なくせに冬は激寒のNYに住んでいるのでよく、なんでこんな寒いのー!?と懲りもせず泣きます)は、夏バテがおきまりで暑いのに弱いにも関わらず、この陽気で機嫌がいいです(笑)。 さて、私はまだ中学生の頃から理由もなく「私は黒人の味方」って思っていました。奴隷制度、人種差別、虐待、に関しては本当に耐えられないぐらいの痛みと憤りを感じます。自分の前世で今の私自身に非常に影響を及ぼしている人生のひとつが黒人の女性だったことを知ったのは随分後になってからです。暴力を受けたり行くところのない女性達、子供達だけを集めて小さな村を自分で作っていました。小学生の頃から普段家でひとりで聞いていたのはR&B、Jazz。読んだ本で印象に残っているのが吉田ルイ子さんのハーレムの本。日本にいる時から黒人の友達が多く、元だんなさんも米国の黒人だったことなどなどは別に意識してそうなったのではなく、なんとなくcomfortableだったのが黒人文化だったり、彼ら黒人とのやりとりだったということのような気がします。それなのに米国で暮らすどころか海外に出ることさえ考えたこともなく、ハーレムに住むなんてことも想像さえした事もなかったのに、なぜか渡米16年、そのうち10年マンハッタンのハーレムに住んでいます。 ご存知の方も多いと思いますが、ハーレムにある戦前に建てられた古いビルは立派な隣近所の音もほとんど聞こえない頑丈な作りで、すごく良い建物が多いんです。残念なことにマネジメント会社が変わるにつれほとんどちゃんとケアをされておらず、朽ち果てて行くようなかわいそうなビルもたくさんあります。私の長く住んだアパートメントも実は昔ドアマンつきの近所の子供は近寄ることを禁じられた高級住宅だったのだそうです。私が住みだした頃にはもうその面影もドアマンもなかったですが・・・。一方、近年どんどんきれいなコンドミニアムが建てられて、賛否両論ありますが、白人の人たちもたくさん住むようになりました。昔から建てられている実は中がゴージャスな憧れてしまうタウンハウスもあちこちにあります。The Great Hallと呼ばれる大聖堂もあって州と連邦政府の歴史建造物に指定されたNY市立大学シティカレッジもあるし、絶対お勧めのそれは荘厳で美しい教会、The Cathedral Church of St. John the Divine(http://www.stjohndivine.org/index.html)があるし、有名なアポロシアター(http://ja.wikipedia.org/wiki/アポロ・シアター)はハーレム中心の125町目にふつう〜に存在しているし、米国元大統領ビル・クリントン氏もオフィスをハーレムに構えて話題になりました。 でも、どこを歩いてもやっぱりハーレム。R&B、Hip Hopの世界です。大きな帽子に色鮮やかなスーツやドレスを着た老若男女がいそいそと日曜に出かける教会、家庭料理を出すソウルフードレストラン、いかした古いジャズラウンジ、朝5時くらいから外では毎日掃除をしている人たちがいるし、時々昔は遊んでたんだろうなあ〜っていう腰のりのりふりふりのおばちゃんやおしゃれなおじいちゃん、ちょっと天気がよかったり気温があがるとみんな用もないのに外に出てわいわい座談会。失業率も高いだろうし、それぞれたいへんな現実を抱えているのだろうし。だけど、みんな良く笑うし、みんな声でかいし(笑)、みんなかわいいし、子供達は恥ずかしがりやさんが多いけどすぐに笑顔で手を振ってくるし、女の子達は小学生でも超ませてるし、男の子達は小学生の時から女の子のお尻を追いかけてるし、学校ではカフェテリアでダンスバトルがしょっちゅう開かれるし、猛暑の日は必ずどこかのブロックで消火栓が勝手に開かれて道路は水浸し、でもそのはじけ出る水に子供達がきゃーきゃー駆け寄ってびしょびしょになって遊んでいるし、まさにスパイク・リーの世界です。 私の住んでいる環境は今も昔も日本人なんて私ぐらい、という場所ですが、ぜんぜん差別を受けたことがないばかりか、ともかく近所のおばあちゃん、おじいちゃん、おじちゃん、おばちゃん、おねーさんたち、にすごく良くしてもらっています。特にはじめて住んだアパートメントでは隣のおばあちゃんとそのご親戚、おともだち、に家族のようによくしてもらいました。そのおばあちゃんMrs. Nicolesは私が引っ越して来た当日遊びに来てくれて、1940年代から住んでいると聞いて、「はい!?!?」と私(笑)。ほんとうにかわいらしいお花のようなおばあちゃんで、昔はcity hallでタイピストをしていたのよお、ということですごく政治に興味が深くて、オバマ大統領が選ばれた際の選挙に自ら投票に行ってTVや新聞でインタビューを受けて報道されていました。その時100歳を超えていらっしゃったので。愛してらっしゃっただんなさまに先立たれ、ひとりぼっちで住んでいました。(余談ですが、その亡くなられただんなさまを私はある朝5時くらいに廊下で見かけました。ちょうどおばあちゃんちの、つまりご自分の家のドアをすり抜けて入って行くところでした。きちんとスーツにタイをしていらっしゃって、後からそのスーツや眼鏡やお顔をMrs.Ruiseに伝えたら、そのスーツは彼のお気に入りでいつも来ていたスーツなのだと教えてくれました。写真を見せてくれて確認したら、やっぱり私が見たその男性でした。Mrs. Nicolesを守ってくれているんだなあ。。。と思いました)そのMrs. Nicolesは実は癌を煩っていたのですが、本人には最後まで周りは知らせないで、親友で82歳の元看護婦さんというMrs. Ruiseが親切にも泊まりがけで面倒をみてあげていました。このMrs. Ruiseが超頭の良い方で、本当におかあさんのようにかわいがってくれて、本の話しとか昔の人種差別の話しとか、いろいろ教えてくれました。ふたりのことが大好きだった私は、このふたり、そして階下に住むヤンキースタジアムで長年働いていて毎年うちの子供達にシーズンになるとヤンキースグッズをたくさんプレゼントしてくれて、一人暮らしなのに超きれい好きでお部屋はすっきりぴかぴか!時々遊びに行っておしゃべりしたMr. Stanley、同じ階のまだ20代後半のTinaはいっつも大声でどこでも声をかけてくれてうちの子供達のことは「私のいとこたち!」と言ってかわいがってくれて。6階に住んでいたものすごくやさしくて笑顔しか印象がなくていつも手をつないで静かに歩いていたおじいちゃん、おばあちゃん夫婦。外に出れば毎日同じところにいるおっちゃんたちが頼まなくてもまだ小さかったうちの子供達が危ないことしていないか、とかちゃんとスクールバスに乗ったかとか見ていてくれて報告してくれるし。この人たちとの別れが惜しくて、その古いアパートには随分長いこと住みました。子供達が大きくなってしまって狭くなって引っ越しをしたのですが、みんなにはぎりぎりまで引っ越すと言えなくて、3日前ぐらいに言ったらみんなが "Why!!??"って。そして"I'm gonna miss you!"とぎゅううううっと抱きしめてくれました。隣のおばあちゃんは泣いてしまいました。「Setsuたちが引っ越しちゃったら私はどうやっていきていけばいいの?寂しくてどうしたらいいかわからなくなる。。(涙)」って。引っ越すことをその時は本気で後悔しました。そのおばあちゃんは私たちが引っ越してしばらくたってから105歳で亡くなりました。マイアミに住む親戚の女性が私の携帯電話にわざわざ電話をくれて知らせてくれたのです。ハーレムでのお葬式に子供達と一緒に出席した私は、なぜもっと何度も遊びに行って様子を見なかったのだろう。。。と後悔でいっぱいになって涙がとまりませんでした。近所のおばあちゃんに、「あなたたちが引っ越してしまってから寂しい、I miss themっていっつも言ってたのよ」と言われてまた涙。久々に会ったMrs. Ruiseにはもうお母さんに再会したかのごとくうれしくてふたりで抱き合って泣きました。何度もほっぺたを両手で撫でてくれて、「ああ、会えてうれしいわ!来てくれてありがとう!」って言ってくれて。ふたりのおばあちゃんたちに今でも時々ものすごく会いたくなって、また娘のようにかわいがってもらってみんなでTea Partyをしたいなあ・・・って思ってしまいます。うう、悲しくなってきました。 今住んでいるのもハーレムのアパートメントですが、みんな親切です。ドアを必ず開けてくれるし押さえてくれるし、声かけあうし、みんなきれい好きだし、仲良し。一度も危ないことにあったことなんてないし、前のアパートメントではちょっと遅い時間にお出かけしようと外に出たら「こんな時間にどこいくんだー!早めに帰ってくるんだぞー!」って顔見知りのおじちゃん達に言われる始末(笑)。 確かにみんなその場その時をエンジョイする性質なので、女性を見れば挨拶代わりに声をかけます。が、これはご愛嬌ということで笑って許してやってください。ついこのあいだなんか朝歩いていたら高校生の男の子に声をかけられました。高校生でっせ?どういうこと!?おい!!早く学校行って勉強しなさい!ともう少しで言うところでした。そんなとこです、ハーレム(笑)。安全でのんびり下町ぽくてなかなか住み心地いいですよ。リーデイングのセッションは基本私の自宅でおこなっております。みなさんハーレムは初めて、という方も多いですが、どうか心配せずに観光も兼ねて(?)お越し下さいね。

Life may not be the party we hoped for, but while we're here we should dance. ~ Author Unknown

人生というものは私たちが望んだようなパーティじゃないかもしれないけれど、生きているかぎりダンスするべきだよね。〜作者不明

夕立になったハーレムより。 Love, Thanks & Hugs, Setsu Unknown

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